- 2022年10月10日
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これからの時代に、とても重要なイベントに参加しました。
終日、木づかいで始まる脱炭素社会について学びました。
政治、経済、不動産、建築、木材関連などのトップランナーが集結したイベントです。
カーボンニュートラル宣言もあり、関係省庁が連携し、政府と一体となった取り組みが期待されています。
「木造ビルは建てた後が重要なのできちんとプロモーションを行う」
「企業が山を持つ時代」
など貴重な提言もありました。
以下、個人的に重要だと感じたことをまとめます。
【講演:「国産材の大きな需要創出と林業再生」】
■日本の建築基準法は耐火基準が厳しすぎるのではないかという指摘
・現状は大規模ビルの火災による倒壊は想定しにくい
・自家発電設備があり、スプリンクラーが動かないことは現実的にあまりない
・仮に火災が起きても、周辺道路が広く、隣棟間隔があれば、倒壊による被害は起きにくい
【パネル1:中高層ビルの木造化木質化 ~SDGs時代を築く建築】
<1.中高層ビル木造化の歴史と変遷>
■海外と比較の比較
・日本は木造の技術が優れている
・日本は木との距離が近い
・図面以上のバックアップがある
■課題
・木の不燃化
・中大規模木造のインフラの構築
・コストダウンが鍵:特にCLT、国産材のコストが高い
・建設時のCO2削減:木材利用は必須
<2.中高層ビル木造化の挑戦と課題>
■ケーススタディ:銀座の木造ビルプロジェクト
・高さ60m
・コンセプト:銀座の中心に森を作る
■中高層ビル木造化の課題
・コスト:サプライチェーンの現状を考えるとすぐには下がらない
・アイデア:技術の汎用化
・普及の鍵:経済性、エンジニアリングウッドのコストダウン
<3.木材利用と森林循環の実現>
■ディペロッパーと各地域の林業とのつながり:供給、育樹
■森林ファンド:実現には課題山積
<まとめ>
・普及に向けて:里山、人工林との共生、歴史的にも循環を実現、一般の人への啓蒙活動
・林業の再生:地方の創生や雇用、地域林業の再生、サプライチェーンの構築
・木造普及のエバンジェリストが必要
【講演:林業と木材利用:地方創生】
・日本は世界で3番目の森林国:フィンランド、スウェーデンに次ぐ
・地方でも木造ビルは話題
・林業の活性化:若者の雇用が生まれる(現在の林業従事者:約5万人)
・人口減少:約60万人/年が減る、数年後には100万人を超える
・日本の状況:東京一極集中の弊害、
・日本の希望:農業、林業、漁業に向いている
・人工林(金になる木):日本は世界2位 ※世界一はアメリカ
・大規模木造:CLTは実務的な課題でなかなか実現しない
・国を変えるのは、常に地方であり、1人ひとりの知恵と努力
【パネル2:木づかいとまちづくり 〜都市と中山間地域】
<1.都市における木づかいまちづくりの利点>
■ケーススタディ:横浜の木造ビルプロジェクト
・自社の研修施設、構造体は全て木造、内階段(CLTなど)、2.8m✖️4mの構造材ユニットを工場で作って運搬
■ケーススタディ:国分寺の木造ビルプロジェクト
・上階は1時間耐火、下階はS造、木造ビルと認識されている
■ケーススタディ:東京の木造ビルプロジェクト
・メリット(木の認知度向上、外装材利用)、デメリット(外壁の再利用に至っていない)
・木造・木材のメリット:経年変化で味が出る、色の変化は自然の影響
<2.活性化がもたらす、中山間地への影響>
■供給体制の課題
・集成材工場が少ない
・山が多く伐採が難しい
<3.木づかいまちづくりが一過性のブームで終わらせないために>
・脱炭素社会:木造化が鍵、炭素固定の切り札
・木は適材適所で使う
・問題点:木がどこまで炭素を固定し続けられるのか、グローバルルールで動く、
・木造ビルの未来:そこで働いている人たちの変化
・人の感覚をつくる:心に植林する
【パネル3:木造化ラブコール〜施主と消費者の「木」への渇望】
<発注者の木造化木質化ニーズ>
・木造建築の相談は増えている
・木造マンション:劣化対策等級3取得、70年以上の耐久性を認定される、減価償却を47年で設定
・マンション:木造も一定の基準を満たせば「マンション」扱いになる
<消費者にとっての木の魅力>
■ケーススタディ:北海道の木造ホテルプロジェクト
・上層階を木造化、木の香り、木の歩行感、約8割が道産材、地産地消、地球に優しいが重要
・木のイメージ払拭が重要:材料が軋む音など
・木造ホテルは人気で収益性も高い
■ケーススタディ:東京の木造マンションプロジェクト
・入居者は若い世代が多い
・家賃高くても住みたい
・高収入のDINKS、ファミリー世帯が多い
・ミレニアム世代、Z世代は地球にやさしいことがスタンダード
■ケーススタディ:学校建築
・子供は木の空間だとくつろげる、教育のあり方が変わる時期に木の空間は合っている
【パネル4:投資と木づかい〜森林と木造建築の投資価値】
<木造建築物の森林投資の現状と昨今の環境変化>
■銀行の視点
・金融における木造建築物の課題:減価償却の年数、耐久性の向上により年数の見直しも可能
■法律事務所の視点
・アグリフードチーム(一次産業専用のチーム)創設:カーボンクレジット、業界保護の活動
・森林の課題:経営が困難、所有者不明、業態を変えにくい、
・変化は若者が起点になることが多い
・国内の森林資源の現状は課題が山積
<投資促進への課題と改善に向けたアクションプラン>
■森林ビジネスに関する投融資が成立するための法的要件
1.投資スキームの森林ビジネスへの導入:投資円滑化法ファンド、匿名組合・合同会社スキーム
2.スケールとファイナンスのためには何が必要か:
3.期中キャッシュフローの確保
■サーキュラーエコノミー(森林エコシステム構築):生物多様性、地域創生、脱炭素化
・地方創生:サーキュラーエコノミー実現のための街づくり
・「地域創生まちづくり支援」:銀行がステークホルダーを紹介 ※カタリスト
■その他のトピックス
・バイオマス:全体としては小さな動き。地域の発電のエネルギーにはなる
・森林経営者管理法に基づく所有者不明森林対応
・改正民法に基づく共有者・所有者不明森林対応
・森林が太陽光発電パネルの新たな設置場所に
【パネル5:木材サプライチェーンマネジメント〜地域活性と安定供給】
■課題
・国産材パッケージの需要創造
・木造非住宅独自のインフラが必要
・ウッドショックは解消しつつある
<サプライチェーンの短縮と森林還元>
■大手ディベロッパーの新会社
・「林業界のユニクロ」、一気通貫→全体最適型モデル、事業を通じてまちづくりの架け橋に
・山林の問題:売却希望者が多い、購入時の検討項目は林道の有無など
【パネル6:木造化を進める技術〜素材と工法・構法、そして材供給】
<木造の性能:耐久性、耐火性、遮音性>
■集成材メーカーの取り組み
・CLTの利点:国産材活用、工期短縮、高い断熱・耐火・耐震性、中高層木造建築を実現
・CLTの製造:国産材の杉、檜を利用、
・バイオマスの活用:木材の循環利用、地域の発電を担える
■課題
・国産材:調達がすぐにはできない、安定供給のインフラ構築
・中大規模木造:プレカット対応、材料が重いので人力では持てない
【パネル7:木づかいベンチャー特集〜新たなビジネスモデルと技術】
<木造化・木質化のユニークバリュー>
■木質パネル会社
・大型パネル事業=受託加工業:設計・仕様を指定して依頼してもらい、パネルを製作して上棟を一日で完結させる
・コンセプト:下請けをベンチャー化、小さく考える
■大学
・建築と森林のデータ連携
■その他
・人材の確保が課題
・人に依存していた産業構造を変革できないか
<建築と森林循環への筋道>
・森林をデジタル資源倉庫へ
・地域循環型森林産業へ:垂直統合型の森林・木材産業を目指す
以上です。
いろいろな気づきや学びがありました。
主催者、関係者の皆様ありがとうございました。
当社も今後の活動に反映させて行きたいと思います。