- 2022年12月2日
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2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。
「排出を全体としてゼロ」というのは、
二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、
植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、
合計を実質的にゼロにすることを意味しています。
カーボンニュートラルの達成のためには、温室効果ガスの排出量の削減並びに吸収作用の保全及び強化をする必要があります。
特に住宅・建築分野においては、積極的に「木」を使うことで温室効果ガスの吸収を増やせるため、カーボンニュートラルを目指すためには木造化、木質化がより求められています。
カーボンニュートラルと木造化・木質化との関連性
日本が目指す「カーボンニュートラル」は、CO2だけに限らず、メタン、N2O(一酸化二窒素)、フロンガスを含む「温室効果ガス」が対象になっています。
これらの温室効果ガスについて、「排出を全体としてゼロにする」となっています。
「全体としてゼロに」とは、「排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにする」ことを意味します。
排出を完全にゼロに抑えることは現実的に難しいため、排出せざるを得なかった分については同じ量を「吸収」または「除去」することで、差し引きゼロ、正味ゼロ(ネットゼロ)を目指しましょう、ということです。
これが、「カーボンニュートラル」の「ニュートラル(中立)」が意味するところです。
まずは排出する温室効果ガスの総量を大幅に削減することが大前提となります。
各国の野心的な目標の引き上げなどの気運もますます高まっており、「2050年のカーボンニュートラル実現」を目指す動きが国際的に広まっています。
CO2排出削減とともに吸収源の確保も重要です。
人為でCO2を固定する方法は、森林を造成して木材を利用する以外に有効な技術はまだないと言われています。
森林はCO2を吸収するとともに、木材として利用することで長期間貯蔵可能になります。
全世界的な環境意識の高まりもあり、注目されているのが木材に関する「森林認証制度」です。
代表的な森林認証制度は「FSC」と「PEFC」の2つで、世界中で最も広く普及している認証制度です。
カーボンニュートラルに貢献できる木造のメリット
脱炭素、カーボンニュートラルに貢献できる木造のメリットは主に下記です。
・木材は「植える→育てる→伐採する」サイクルで森林が適切に循環されることにより半永久的に再生産できる優れた材料です。
・森林のリサイクルがうまく循環することで、国土保全、土砂災害の防止等の多様な機能が発揮されます。木を育て、木を活用することはその森林を守ること(=地球温暖化防止・生物多様性の保全)にも繋がります。
・樹木はCO2(二酸化炭素)を取り入れ、酸素を放出して成長(光合成)していきますが、成長過程において多くの二酸化炭素を吸収した機能は木材になってからも炭素を固定し続けます。
・日本の気候風土である高温多湿のなかで快適に暮らすには湿度対策が欠かせません。木は湿度が高くなると湿気を吸収し、乾燥すると湿気を吐き出すという調整機能を持っています。
・木は鉄やコンクリートに比べて熱を伝えにくいという特性を持っています。木の断熱性はコンクリートの約11倍、鉄の約350倍となり、木材は高い断熱性能を有しています。
・木は音をバランスよく吸収するという特性も持っています。音響効果を大切にするコンサートホールなどに木造建築が多いのはその特性を有効に活用しているからです。
・躯体を木造にする事で造作・屋根工事などで地元の大工を活用する事もでき、「地産地消」や「地域の活性化」も実現できます。
・教育施設の調査において木材利用は、子ども達のストレス緩和、集中力の向上、インフルエンザや怪我の抑制効果などの報告があり、木造の建物は健康にも優しい建築物です。
まとめ
2050年カーボンニュートラルの実現、また2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指し、さらに、50%の高みに向け挑戦し続けることが求められています。
現在、我が国は年間で12億トンを超える温室効果ガスを排出しており、2050年までにこれを実質ゼロにする必要があります。
このカーボンニュートラルへの挑戦が、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想で、日本全体で取り組んでいくことが重要です。
新たな地域の創造や国民のライフスタイルの転換など、カーボンニュートラルに向けた需要創出の観点に力を入れながら、取組を推進していくことが求められています。
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