建物の骨組みに木材を使う「木造のビル」が増えているニュースが増えています。

高層のビルは鉄骨造やコンクリート造を使って建てるイメージがありますが、木造でも丈夫なビルを建てることができます。

このコラムでは木造ビルのメリットについてお伝えします。

木造ビルが増えている背景

近年、国内で木造の大型建築物が増えています。

大手建設会社により、柱、梁、床、壁といった建物の骨組みになる主な構造材に木材を使った「純木造」が建てられています。

建物の一部に木造を組み込む場合もあります。

下層の階は鉄筋コンクリート造で、上層の階は木造と言う建築物もあります。

大型の建築物は通常は鉄骨や鉄筋コンクリートを使って建てられています。

近年、木造が増えている理由は大きく2つあります。

・木材を使う技術が進歩して地震や火事にも強い丈夫な建物を作りやすくなった

・気候変動対策等のために木材を活用する動きが盛り上がってきている

木造ビルで期待される技術はCLT

技術面では、木の板を重ね合わせたCLT(クロスラミネイテッドティンバー)と呼ぶ木材の活用が進んでいます。

CLTは細長い板を並べ、木の繊維の方向が直角に交差するように積み重ねて接着した材料です。

繊維の方向が互い違いになっていますので、タテヨコどちらの力に対しても強くなります。

これによって揺れに耐えます。

CLTはもともと欧州で発展し、米国などでも高層建築に使われるようになりました。

日本でも2010年代になりCLTを作るときの規格や建築物に使う際のルールが決まり、利用が広がりつつあります。

木造ビルのメリットは二酸化炭素を長く留めておける

地球温暖化の大きな原因が人間のさまざまな活動で出てくる二酸化炭素だと言うことは知られています。

植物は栄養分を作る光合成の際に二酸化炭素を吸収します。

建物に用いる木材にも二酸化炭素が蓄えられています。

街中にビルを建てるときに多くの木材を使えば、二酸化炭素をビルに長く留めておくことができます。

この効果を林野庁は「都市に第二の森林を作る」と表現しています。

木造ビルにより二酸化炭素を減らすこともできる

木材利用はビルの建設時に出てくる二酸化炭素を減らすことにも役立ちます。

建築材料のセメントや鉄を作る過程ではたくさんの二酸化炭素が発生してしまうからです。

これを木材に置き換えることで二酸化炭素を減らすことができます。

日本では森林が吸収する二酸化炭素の量が年々減っています。

日本の森林面積の約4割(1,000万ヘクタール)が人工林と言われています。

このうち樹齢50年を超える成熟した木が半分以上を占めています。

成長する途中の若い頃は二酸化炭素を吸収しますが、成熟した木では少なくなります。

つまり人工林の高齢化により二酸化炭素の吸収量が減ってしまうのです。

まとめ

成熟した木を伐採して木材に使い、新たな苗木を植えれば二酸化炭素の吸収を増やすことができます。

国産の木材は、海外から運んできた安い木材に押されてしまい、日本の林業は衰退しています。

木を定期的に切り、資源を循環させなければ、山は荒れてしまいます。

林業を再び元気にして森林の二酸化炭素吸収を増やすために、国産の木材の活用を進めていくことが重要です。

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