
未来の建築、特にサステナブルな社会を実現する鍵として注目される「木造化・木質化」。
私たちハウス・ベース株式会社は、この大きな可能性を業界の皆様と共に切り拓くべく、「木造化木質化視察ツアー」を企画・開催しております。
この度、2日間にわたるツアーの実現にあたり、YKKAP株式会社様より全面的かつ多大なるご協力を賜りました。
この場を借りて、心より厚く御礼申し上げます。
本記事では、ツアー2日目の様子をレポートいたします。
舞台は、YKKAP様が未来の暮らしを提案する富山県黒部市。
省エネと快適性を高い次元で両立させた街「パッシブタウン」から、世界トップクラスの品質を支える製造・研究開発拠点まで、普段は決して見ることのできない”YKKAPの心臓部”を巡る、まさに圧巻のプログラムでした。
「非住宅木造の可能性を探りたい」「中高層の木造共同住宅の付加価値とは?」「これからの建材選びの基準を知りたい」。
そんな想いを抱える設計事務所、工務店、建設業界の皆様にとって、この記事は必ずや新たな気づきとビジネスのヒントをもたらすはずです。
YKKAP様が描く未来の建築、そして木造建築の最前線を、私たちの視察体験を通してぜひ感じてください。
未来の暮らしを体現する「パッシブタウン」

ツアー2日目の幕開けは、今回の視察のハイライトの一つである「パッシブタウン」から始まりました。
ここは単なる住宅地ではありません。
YKKAP様が提唱する「エネルギーを創り、賢く使い、快適に暮らす」という思想を、街全体で具現化した未来の暮らしの実験場です。

自然の恵みを最大限に活用し、高性能な建材と先進技術を組み合わせることで、住まう人の健康と地球環境の双方に貢献する。
そんなサステナブルな社会の縮図がここにありました。
特に、木造建築の可能性を大きく広げる、第5街区の木質ハイブリッド構造「中高層木造共同住宅」の見学は、私たちツアー参加者にとって大きな衝撃と学びを与えてくれました。

YKKAP様の描く未来が、絵空事ではなく、すぐそこにある現実であることを実感した瞬間です。
内容が盛りだくさんなので、第5街区については、別のブログでご紹介します。(近日、公開予定)
パッシブタウン:街全体でエネルギーを考える革新的なコンセプト

パッシブタウンの最も驚くべき点は、一戸一戸の住宅性能を高めるだけでなく、街区全体でエネルギーをマネジメントしていることです。
この「エネルギーの地産地消」とも言える仕組みにより、街全体でのエネルギー消費量を大幅に削減しています。

さらに、建物の配置や窓の設計にも工夫が凝らされ、夏の日差しを遮り、冬の暖かな日差しを取り込む「パッシブデザイン」が徹底されています。
驚いたのは、住民の省エネ意識を自然に高める仕組みが導入されていたことです。
これは単なる技術の集合体ではなく、住まう人が主役となり、環境と共生する新しいライフスタイルそのものを提案しているのだと感じました。


パッシブタウンでは、先進的な建材と、それを最大限に活かす設計・施工技術により、それぞれ別の設計事務所が設計した共同住宅が美しい街並みを形成していました。
YKKAP様からは、様々な工夫について詳細な説明を受けました。

パッシブタウンの快適な室内環境を支えている核心的な要素、それがYKKAP様の高性能窓です。
断熱性能が低い窓は、夏は暑さ、冬は寒さの原因となり、エネルギーロスも大きいもの。
しかし、ここに採用されている高性能な窓は、まるで魔法瓶のように室内の快適な温度を保ちます。

実際に室内に入ると、外の気温に関わらず、エアコンに頼りすぎない穏やかな空気が流れていることを肌で感じました。
特に印象的だったのは、大きな窓が配置されているにも関わらず、窓際の温度が壁とほとんど変わらないこと。
これにより、冬場のヒヤリとする不快感がなく、空間を広々と使うことができます。

YKKAP様の窓は、単なる建材ではなく、「心地よさ」という価値を創り出すための重要な鍵であることを、身をもって体験することができました。
関連ページ(YKKAP様WEBサイト):「パッシブタウン」
パッシブタウンの街の進化や建築の経年変化を学びたいため、また再訪したいと思います。
地域に愛される木質化の好事例「魚の駅 生地」

次に我々が訪れたのは、黒部漁港の目の前に位置する「魚の駅 生地(いくじ)」です。
ここは、新鮮な海の幸を求めて地元住民や観光客で賑わう、まさに地域のハブ施設。
開放的で明るい空間は、木材をふんだんに使用することで温かみのある雰囲気を生み出し、人々の憩いの場として機能していました。

美味しい海鮮丼をいただきました。
“ものづくり”の心臓部「黒部萩生製造所」へ

美味しい昼食をいただいた後、私たちはYKKAP様の「黒部萩生(おぎゅう)製造所」へと向かいました。
ここは、窓や建材の製造から、研究施設が併設された巨大な生産拠点です。
普段、私たちが目にしている完成品の窓や建材が、どのようなプロセスを経て生み出されているのか。
その裏側を見学できるという貴重な機会に、参加者の期待は最高潮に達しました。
広大な敷地に整然と立ち並ぶ工場群と、そこで働く方々の真摯な姿。
YKKAP製品がなぜ高い品質と信頼性を誇るのか、その答えは、この場所にありました。
世界に誇る日本の製造業の神髄に触れ、建材という製品の向こう側にある情熱とこだわりに深く感銘を受けた時間でした。
関連ページ(YKKAP様WEBサイト):「黒部萩生製造所」
未来の”当たり前”を創る「価値検証センター」

製造の現場で品質へのこだわりを体感した後、私たちはYKKAP様の技術開発の最前線、「価値検証センター」へと足を進めました。
ここは、YKKAPが生み出す全ての製品の性能を、あらゆる角度から徹底的に検証・評価するための研究開発拠点です。
私たちが普段、カタログのスペック表でしか見ることのない「耐風圧性」「水密性」「断熱性」「防耐火性」といった性能が、実際にどのような過酷な試験を経て保証されているのか。
そのリアルな現場を目の当たりにすることで、製品への信頼は確信へと変わりました。
未来の木造建築、特に非住宅や中高層建築で求められるであろう、より高度な性能。
その”未来の当たり前”は、まさにこの場所で生み出されているのです。
見学する中で、参加者から何度も漏れたのが「ここまでやるのか!」という驚きの声でした。
こうした試験は、法的な基準をクリアするためだけに行われているのではありません。
YKKAP様が自社で設けた、より厳しい基準をクリアするために行われているのです。
お客様が長年にわたって安心して使い続けられること。
その当たり前を守るために、見えないところで膨大な時間と労力が費やされている。
その事実に、メーカーとしての誠実さと、製品に対する誇りを強く感じました。
関連ページ(YKKAP様WEBサイト):「価値検証センター」
五感で性能を”体感”できる「PSスタジオ」

ツアーの締めくくりとして訪れたのは、黒部市にある体感型ショールーム「PSスタジオ」です。
PSとは「パートナーズサポート」の略。
その名の通り、窓やドアの「性能」を、カタログの数値ではなく、自身の五感を通して”体感”できる画期的な施設です。
これまでに製造所や研究施設で、YKKAP様の品質と技術力の高さを理論として学んできましたが、ここではそれらが実際の暮らしの中でどのような「価値」に変わるのかを実感することができます。
その企業姿勢に深く感銘を受けると共に、自社のビジネスに活かせる多くのヒントを得ることができました。
開発中の技術や製品を詳しく解説していただき、率直な意見交換もさせていただきました。
特に、設計提案を行う設計事務所や、お客様と直接対話する工務店・ハウスメーカーの方々にとって、この「体感」という経験は、提案の説得力を飛躍的に高める強力な武器になると感じました。
関連ページ(YKKAP様WEBサイト):「PSスタジオ」
まとめ

2日間にわたる「木造化木質化視察ツアー」は、YKKAP株式会社様の絶大なるご協力のもと、無事に全行程を終えることができました。
改めて、このような貴重な機会をご提供いただきましたYKKAPの皆様に、主催者として心より感謝申し上げます。
今回の視察を通じて私たちが得たものは、単なる製品知識や技術情報だけではありませんでした。
それは、YKKAP様が描く、サステナブルで豊かな未来のビジョンそのものでした。
未来の街「パッシブタウン」では、中高層木造共同住宅という新たな可能性を目の当たりにし、製造・研究開発の現場では、世界に誇る品質を支える揺るぎない哲学と情熱に触れました。
そしてPSスタジオでは、それらの技術が、いかに私たちの暮らしを「心地よい」ものに変えるのかを五感で体感しました。
「木造非住宅」「非住宅木造」の推進は、もはや時代の要請です。
今回の視察は、その挑戦がいかにエキサイティングで、大きな可能性を秘めているかを再認識させてくれる旅となりました。
私たちハウス・ベース株式会社は、このツアーで得た学びとネットワークを活かし、これからも業界の皆様と共に、木造化・木質化の未来を切り拓いていきたいと考えております。
非住宅建築の木造化に関する広報支援、設計支援、実務支援など、あらゆる課題にお応えします。
「木で、未来を建てよう。」
ご興味をお持ちの企業様は、ぜひお気軽にハウス・ベース株式会社までお問い合わせください。
私たちと一緒に、次世代の建築を創り上げていきましょう。
木造非住宅ソリューションズとは?
「木造非住宅ソリューションズ」では、実務者のスキルアップや交流を目的に定期的に勉強会や見学会を開催しています。
木造化・木質化に関する支援を提供する活動において、その担い手となる実務者(設計者、施工者、その他専門家)への情報提供や啓蒙活動は必須であると考えています。
加えて、人口減少・高齢化・建築離れ等の問題による、実力・実績のある実務者確保も重要な課題です。
そうした問題意識から、木造化・木質化に関して学ぶ場を定期的に設けることにより、実務者の実力向上を図りたいと考えています。
ハウス・ベース株式会社の木造化・木質化支援
非住宅用途の建築物で、木造化・木質化の更なる普及が期待されています。
諸問題を解決して、木造化・木質化を実現するには、「木が得意な実務者メンバー」による仕事が必要不可欠です。
木造非住宅ソリューションズでは、発注者の課題に対して、最適な支援をご提案します。
ハウス・ベース株式会社は、建築分野の木造化・木質化を支援するサービスである「木造非住宅ソリューションズ」を展開しています。
「木造非住宅ソリューションズ」とは、脱炭素社会実現に向けて、建築物の木造化・木質化に関する課題解決に貢献するための実務支援チームです。
◾️テーマ:「(木造化+木質化)✖️α」→木造化・木質化を追求し、更なる付加価値を創出
◾️活動の主旨:木に不慣れな人・会社を、木が得意な人・会社が支援する仕組みの構築
【主なサービス内容】
◾️発注者支援:施主向けに、木造化・木質化への事業計画、依頼先選定、プロジェクトマネジメント等
◾️設計支援 :木造化・木質化プロジェクトの建築計画、デザイン、図面作成、申請等
◾️施工支援 :木造化・木質化プロジェクトの施工者紹介(元請、建て方)、施工者に対しての案件紹介等
◾️事業者支援:メーカー、商社等を対象に、木造化・木質化に関する広報、イベント、販促支援等
木造化・木質化で専門家の知見が必要な場合は、ぜひハウス・ベース株式会社までお気軽にお問合せください。