木造非住宅の未来を見据えた「岡山県・中大規模木造・CLT視察ツアー」のツアーレポート(2日目)です。
今回のツアーでは、木造非住宅の可能性を実感できる内容となりました。
岡山県は、地域の木材資源を活用した先進的な木造建築が多く存在するため、視察の目的地として非常に魅力的です。
中大規模木造の設計や運営には、適切な材料選定や技術革新が不可欠です。
今回訪れた木造建築で見たように、CLTや構造用集成材の活用が、持続可能な建築を支える鍵となります。
視察の参加者同士で、木造建築への取り組みや課題について意見交換ができたことがとても有意義でした。
※ツアーレポート(1日目)はこちらです。
CLTによる事務所:「銘建工業様本社」
最初の見学は、「銘建工業様本社」です。
銘建工業様の本社事務所は、CLT(直交集成板)を活用した木造オフィスとして設計され、建物自体がショールームの役割も果たしています。
CLTによる斜め格子の菱組構造が特徴の事務所です。
CLTの大判を使い、開放感と耐震性を両立する設計が施されています。
内部にはフリーアドレス席や吹き抜けが設けられており、社員の新しい働き方を支援しています。
CLTの事務所建築の模型です。
構造の考え方や、CLTの使い方が、視覚的に理解できます。
構造用集成材を製造する工場:「銘建工業様本社工場」
次の見学は、「銘建工業様本社工場」です。
銘建工業様の本社工場では、構造用集成材が生産されています。
視察で特に印象的だったのは、構造用集成材を高精度で生産する自動化された生産ラインです。
工場の自動化による生産効率の高さが際立っていました。
磨き上げられた生産管理システムにより、リアルタイムで生産状況を把握できる仕組みが導入されていました。
こうした技術が、材料の生産性や納期短縮、品質の安定化に大きく貢献しています。
工場全体が無駄を最小限に抑えた運営を実践しており、廃材の再利用も徹底されています。
各工程がシームレスに連携しており、廃材もほとんど発生しない持続可能な仕組みが整っています。
以前に使われていた工場の一角に、熱いメッセージが書かれていました。
銘建工業様の生産管理や持続可能な取り組みは、本当に素晴らしいと感じました。
大断面の構造用集成材を製造する工場:「銘建工業様大断面工場」
次の見学は、「銘建工業様大断面工場」です。
大断面材は、中大規模木造において、大空間を成立させるための耐震性や強度を確保するために重要な役割を果たします。
銘建工業様の大断面工場では、これらの製品を高度な技術で加工し、非住宅木造のニーズに応えています。
工場では、最新の加工機を用いて大断面材を高精度に製造されていました。
大断面材は建築物の強度を支えるため、材料強度や耐久性を兼ね備えることが必要です。
工場見学後にはミーティングを開催していただき、活発な意見交換を行いました。
銘建工業様のこだわりを知ることができました。
昼食・休憩:「真庭あぐりガーデン」
次の訪問は、「真庭あぐりガーデン」です。
真庭あぐりガーデンは、自然と調和した建築計画が特徴で、広がる自然の景色と建物の木材が絶妙にマッチしています。
地元食材を活かしたランチでは、地元の新鮮な食材を使った料理を楽しむことができました。
地域の自然を活かしたメニューは高い人気があり、平日にも関わらず、満席状態でした。
製材+構造用集成材の大規模木造:「真庭市落合総合センター」
次の見学は、「真庭市落合総合センター」です。
真庭市落合総合センターは、既存体育館を活かしながら、市役所支所・保健センター・公民館・図書館といった市民サービス機能を統合したものです。
真庭市産の木チップとペレットを主燃料としたバイオマス熱源システムの施設も併設されており、この施設に供給されています。
木造の温もりが地域の人々に安心感を与えると同時に、地元木材の活用が地域経済の活性化にも貢献しています。
建物には一般製材と構造用集成材が多用されており、その構造的な強みと美しさを実感できました。
燃えしろ設計による木造の準耐火構造となっており、木構造の現しが可能になっています。
CLT+構造用集成材の大規模木造:「真庭市立北房小学校」
次の見学は、「真庭市立北房小学校」です。
木材を多用した内装が特徴で、子どもたちの健康や成長を支える空間が広がっています。
温かみのある木の香りが心地よい学習環境を実現しています。
大断面の構造用集成材によるラーメン架構に加え、教室間の耐力壁にCLT板を部分的に活用しています。
吹抜のメディアセンターは、学校の中心に配置されており、ハイサイドライトから木材の天井ルーバーを通してやさしい光が差し込みます。
教室部分の長手方向の大断面の梁の上に、登り梁が設置されており、大きな屋根を支えています。
体育館の大空間です。
体育館の屋根には、CLT板が活用されています。
この学校では、木造の構造体だけでなく、内装・建具・家具でも積極的に真庭産材を採用されています。
CLT+構造用集成材の大規模木造:「真庭市立北房こども園」
次の見学は、「真庭市立北房こども園」です。
大規模木造による幼保連携型認定こども園です。
「真庭市立北房小学校」と隣接して建てられています。
温かみのある木の香りが心地よい学習環境を実現しています。
大断面の構造用集成材によるラーメン架構に加え、屋根や耐力壁にCLT板が活用しています。
隣接する小学校と同様に、環境に配慮した設計が施され、地元木材を活用することで持続可能な教育環境を実現しています。
まとめ
木造非住宅の未来を見据えた「岡山県・中大規模木造・CLT視察ツアー」は、とても実りのあるものになりました。
今回のツアーでは、非住宅の木造化・木質化に取り組む実務者にとって参考になる多くの事例や工場などを見学することができ、非住宅木造の可能性を実感できる内容となりました。
岡山県は、地域の木材資源を活用した先進的な木造建築が多く存在するため、視察の目的地として非常に魅力的です。
銘建工業様の本社では、CLT活用による木造の事務所建築の可能性の広がりを感じました。
銘建工業様の各工場では、木材加工のプロセスと効率的な工場運営の方法が詳細に見学することができました。
落合総合センターの視察では、公共施設における木造建築の重要性を確認しました。
最後に訪れたのは、真庭市立北房小学校・認定こども園では、教育施設における木材の活用事例を体感でき、子どもたちが安心して過ごせる空間づくりと、持続可能な建築の在り方について考えさせられました。
非住宅の木造化・木質化支援を提供する立場からすると、この視察で得た知見は貴重なヒントとなりました。
最後に、ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!
非住宅の木造化・木質化普及に向けて同じ志を持つ皆様とのつながりが、本ツアーの主催者として最も大きな喜びです。
この視察ツアーで得られた「学び」や「気づき」を、木造非住宅の普及に役立てていきたいと考えております。
※ツアーレポート(1日目)はこちらです。
ハウス・ベース株式会社の木造化・木質化支援
非住宅用途の建築物で、木造化・木質化の更なる普及が期待されています。
諸問題を解決して、木造化・木質化を実現するには、「木が得意な実務者メンバー」による仕事が必要不可欠です。
木造非住宅ソリューションズでは、発注者の課題に対して、最適な支援をご提案します。
ハウス・ベース株式会社は、建築分野の木造化・木質化を支援するサービスである「木造非住宅ソリューションズ」を展開しています。
「木造非住宅ソリューションズ」とは、脱炭素社会実現に向けて、建築物の木造化・木質化に関する課題解決に貢献するための実務支援チームです。
◾️テーマ:「(木造化+木質化)✖️α」→木造化・木質化を追求し、更なる付加価値を創出
◾️活動の主旨:木に不慣れな人・会社を、木が得意な人・会社が支援する仕組みの構築
【主なサービス内容】
◾️発注者支援:施主向けに、木造化・木質化への事業計画、依頼先選定、プロジェクトマネジメント等
◾️設計支援 :木造化・木質化プロジェクトの建築計画、デザイン、図面作成、申請等
◾️施工支援 :木造化・木質化プロジェクトの施工者紹介(元請、建て方)、施工者に対しての案件紹介等
◾️事業者支援:メーカー、商社等を対象に、木造化・木質化に関する広報、イベント、販促支援等
木造化・木質化で専門家の知見が必要な場合は、ぜひハウス・ベース株式会社までお気軽にお問合せください。